理想の棲家2009年07月11日

町田市にある、武相荘という所に行ってきました。
昭和のすごい政治家&芸術家の夫婦
白州次郎&正子さんの元おうち。
武蔵と相模の間に建ってるのと、家主が無愛想なのをかけて武相荘。
ネーミングからして粋です。
二人のお坊ちゃん&お嬢様カップルのお家柄もあって
ベースとしては「お偉いさんのお屋敷」なのですが
昔ながらの農家の廃屋を丸ごと買い取り
家も里山も農地もなるべく変えずに残して直して住む姿勢に
ゴージャスとは違う贅沢を感じるおうちなのです。

長い時間を経てツヤツヤになった木の床や柱から
墨みたいな良い匂いが漂っていて
そこに展示されている数々の、飾るんじゃなく実際に
使って愛でられていた骨董品に
夫婦の芸術ともいえるような暮らしぶりを垣間見ました。
お山も竹林も丸ごと入ってる、濃厚な自然の気に満ちたお庭は
そこにいるだけで山に旅に来ている気分になります。
上には鳥、下には虫、生き物の命が溢れかえっております。
藤棚のテラスに出してある椅子に腰掛けて
視界の端にいるお地蔵さんの声をうっすら聴きながら
満ち足りている世界に浸って、意識の水面を覗くのです。

お庭の「山道」には、会うこと叶わなかったあこがれの
あんなきのこや、こんなきのこがモリモリ生えていて
見つけるたびに、「ずるい!ずるい!!」と連呼しておりました。
だって、山や森や大きな公園に行かないと見られないきのこが
都会の住宅街にある自分の家の庭に生えるんですよ!?
こんな反則ってないじゃないですか!!(力説)

あああ、なんて極上なおうちなんだろう。
この家に住んでいた夫妻が心底うらやましい。
この夫妻だからこその家でもあるので
自分にはとてつもなく勿体無い家だけど、いつかはこんな家を持って
暮らせるようになりたいものです。